新郎新婦おめでとうございます。
3分間のスピーチの時間をいただいたわけでありますが、私にとって3分間というのは大変に長い時間でございます。大体、小便して歯を磨いて、洗顔しましても、3分間は長いものでありまして、大体、私はいつも20秒から30秒ぐらいでスピーチは終わるものであります。その短いものをひとつご披露させていただきます。
先ず、新郎と新婦のお2人に、素晴らしい日本語をさしあげたいと思います。
新郎○○君には、アイウエオ。
新婦○○さんには、イロハニホヘト。
新郎○○君は、アイウエオの愛から出発していただきたいと思います。すべては「愛」をもって出発し、愛をもって人生の目的にしてもらいたい。
新婦○○さんは、イロハニホヘトとのイロから出発してもらいたい。色気からの出発が第一であります。
いつもなら、これで私のスピーチは終わるわけでありますが、まだまだ時間がございますそうで、それではマル秘をひとつご披露させていただきます。
実は、今日、この披露宴の会場にやってくる前に、新郎○○君が深く愛の交換をしていた女性と会ったのであります。新婦○○さんは、心中おだやかでないかもわかりませんが、心落ち着けて、静かに聞いていただきたい。
その女性は、この会場に是非連れてきてくれと私に頼みました。私は、彼女がくると式場、宴が大混乱になるのをおそれて、今日は来ないほうがいいとなだめたのですが、彼女はヒステリックに泣き叫び、とても手のつけられない状態になりました。
彼女と新郎○○君の関係がどの程度であったかを詳しくお伝えしておきますと、手を握り合い、抱擁し合っている現場を私はこの目でしかと確認しております。その時の2人の幸せそうな顔が、今でも昨日のように思い出されるのです。彼女が涙をうかべてこの披露宴に連れて行ってくれと依頼した心情が私には痛いようによくわかるのであります。
今日、披露宴に来るまでに、そのようなことがあったと皆さんにご報告して、私のスピーチは終わらせていただきたいと思います。
(注・自分の席に戻りかけて、またマイクのほうに戻る)
まだ3分には少し時間があるようですので、今話しました彼女の素性をもう少し詳しく申し上げたいと思います。
彼女の名は○子といい、私の今年幼稚園にあがったばかりの娘であります。
○○君、あなたはほっとした表情になりましたね。
すると、君は別の女性のことを考えていたのでしょうか。
どうぞ、新婦の○○さん、彼を尻に敷いてやって下さい。 |