最も有効なスタートは、なんといっても聴講者を「笑わせる」ことです。
最初に笑わせることができればその場が和み、その後の展開はスムーズにいくものです。
しかし、聴講者に中高年層の男性(年齢が高ければ高いほど)が多い場合、その場の雰囲気は当初大変硬いものです。
「お手並み拝見」といった雰囲気がジワジワ伝わってくるのです。
断言しますが、中高年男性だけの場で、初対面の無名講師が「笑わせる」ことは困難です。
ただし、有名講師や利害関係が上の立場の講師の場合は別です。
そこで、演台に立つ前に必ず主催者から聴講者の年齢層や性別、職業などの基本情報を入手しておきます。
そうすれば、演台に立ってから慌てることはなくなります。
私は、聴講者に男性が多い場合は、最初に笑わせるようなネタは入れません。
何故なら、リスクが大きいからです。
逆に女性が多い場合、特に年齢層がある程度高い場合は、最初から笑わせるネタを使います。
「笑わせる」ことはなかなか難しいものです。
無理してくだらない「おやじギャグ」などを言ってシラケさせてしまったら、これはもう最悪です。
聴講者の気持ちが引きますし、何より講師自身がそれにより一層緊張してしまうことになりかねません。
特に、講師になって間もない頃は、無理をしないほうが賢明です。
回数をこなしていくと分かりますが、スピーチの最中何気なく言った言葉に笑いが起こる場合があります。
その時は、そのフレーズを覚えておき、次回以降に意識的に使ってみるのです。
その繰り返しにより、段々と人を笑わせる呼吸であるとか、間、ポイントを自分のものにすることができるものです。
ただ、笑いが起こる絶対条件があります。
それは、「話し手、聞き手双方がリラックスしている」ということです。
この条件を満たしていて、講師に技量がある、または鉄板の笑わせるネタを持っているなら、スピーチの冒頭で笑わせるようにしましょう。
最初の5分間で笑わすことができれば、その講師はかない技量があると言えるでしょう。
「笑わせる」ということは、講師のテクニックの中で最も難しいものの一つです。 |