スピーチによる意思伝達内容は、大きく分類すると下記の2つに集約されます。
〈意思伝達の内容〉
@知識を伝える
A知恵を伝える |
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学校の授業や特定の技術の講習会などが@にあたります。
一方、講師の生き方、考え方などを話す講演会などがAにあたります。
結婚式やパーティーなどのスピーチ、演説も形式的にはAに分類できるでしょう。
ここでは〈A知恵を伝える〉のレジュメ作りについて述べていきます。
〈@知識を伝える〉の場合、伝えるべき内容が決まっていますので、カリキュラムなどに沿って話をしていけばいいのですが、〈A知恵を伝える〉の場合、決まりがありません。
そこでゼロから自分で作っていかなければなりません。
そこでまず自分が下記のどのタイプなのか確認して下さい。
〈自分のタイプ〉
A,講師の経験が少ない 話術に自信はない
B,講師の経験が少ない 話術に自信がある
C,講師の経験が多い 話術に自信はない
D,講師の経験が多い 話術に自信がある |
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スピーチによる意思伝達構造は、〈前結法〉〈後結法〉〈直接法〉〈並列法〉と分類されますが、その中で代表的なものが下記の二つになります。
〈前結法〉〈後結法〉です。
私は〈前結法〉をプロトタイプ、〈後結法〉をストーリータイプと呼んでいます。
〈意思伝達の手法〉
A,プロト・タイプ(結論→理由):前結法
特徴:結論を先に話すため内容が分かりやすい
B,ストーリー・タイプ(理由→結論):後結法
特徴:結論が後にならないと分からないので、高い技術が
必要とされる。技術がある場合、高い効果が期待できる |
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自分のタイプが「D,講師の経験が多い 話術に自信がある」以外は、〈意思伝達の手法〉は、
「A,プロト・タイプ(結論→理由):前結法」にするほうが無難でしょう。
ちなみに私もこの手法をメインにしています。
「A,プロト・タイプ」と「B,ストーリー・タイプ」の違いを、有名な推理映画(小説)に例えてきます。
「A,プロト・タイプ」・・・「コロンボ警部(刑事コロンボ)」
「B,ストーリー・タイプ」・・・「エルキュール・ポアロ(アガサ・クリスティー原作)」
このように例えると分かりやすいでしょう。ご存じの通り「刑事コロンボ」は冒頭で犯人が誰だか分かります。
その後その分かっている犯人をコロンボが追い詰めていきます。
一方、アガサ・クリスティー原作の推理小説、例えば「オリエント急行殺人事件」は、次々に殺人事件が起こりますが、途中では誰が犯人かまったく分かりません。
それをエルキュール・ポアロがじょじょに事件を解明していきます。
この二つの対照的な手法、どちらがいいかは観る人の主観になってきますが、秀逸な脚本と優れた演出があれば、アガサ・クリスティーの推理小説のほうがスリリングで面白いはずです。
しかしスピーチの場合、「B,ストーリー・タイプ」はかなり高レベルの技量が要求されるのであまりおすすめできません。
やはり「A,プロト・タイプ」で分かりやすい内容を心がけるほうが賢明です。
話の手法は決まりました。
次にどのような話の組み立てをするかが問題になります。
代表的な組み立て方として〈3段階法〉〈4段階法〉〈5段階法〉とありますが、あまり難しいことを考えず、最もシンプルな〈3段階法〉で十分でしょう。
3段階法とは、簡単にいえば「序論」「本論」「結論」と大きく3つの流れの順で論理展開していく形式です。
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