私は1,000人の前で講義をしてもアガりません。
逆に人数が多ければ多いほど気持ちよく話ができるくらいです。
ですが、最初からそうだったわけではありません。
ただし、何千回やっても程よい緊張はするものです。
というよりまったく緊張しなくなったらダメなのではないでしょうか。
緊張にはレベルがあります。
足がガタガタ震えて、顔面蒼白、声は震える、こういう極度の緊張、つまり「アガる」という状態は問題ですが、適度な緊張は逆に集中力を高めるものです。
では、極度の緊張ではなく、適度の緊張にするためにはどうしたらいいのか?
多くの先人が様々なことを言っています。古典的なものとしては、掌に「人」という字を書いて飲み込む、聴講者をじゃがいもだと思って話す等々。
私の場合、講師になったばかりの頃は、通常30〜50人位の聴講者にスピーチをしていたのですが、ある時日頃の10倍の500人の前でスピーチをすることになったのです。
初めての大人数相手のスピーチでしたので、1週間前から大変緊張していました。
そしてそのスピーチが終了したときの安堵感は今でも忘れられません。
その後、この時の緊張感のイメージがあったため、なんとか緊張せずスピーチする方法はないか試行錯誤を繰り返しました。
その中の一つに、大変高名な合気道の先生が主宰している道場に入門し、心身を統一することを学ぶという試みをしました。
簡単に言えば、臍下丹田に意識を集中し、心と体が一つになったと一瞬のうちに強く念じるという方法です。
時間にしてわずか10〜15秒位で行えるとても簡単な方法です。
そしてある大きな講演会の前にやってみたのです。開演の5分前に控え室で心身を統一し講演に出たところ大変落ち着いて講演することができました。
私の場合、この合気道の道場に心身を統一する方法を学びに行ったのは2回程でしたので、正確に身につくなどというレベルには程遠いです。
ただ一度大変リラックスしてスピーチできたという成功体験により、「出番直前にこの方法をやったら落ち着けた」という良い意味の暗示効果があったのかもしれません。
以後スピーチの度に直前に必ずこの方法を行うようになりました。
そして実際、数千回のスピーチでアガったことは一度もありません。
聴講者が500名いようが1000名いようが大丈夫です。
ただ、たった一度だけ足がガタガタ、声が震えて、頭が真っ白になってしまったことがありました。
この時は、出番直前に先述の「自分流心身統一法」ができずに舞台に上がってしまったときのことでした。
この失敗以後は、どんなことがあってもこの自己流の”おまじない”をして舞台に上がるようになりました。
「自分は緊張するタイプ」だと自認する人は、早く自分なりの”おまじない”を見つけることです。
誰もが緊張しなくなる万人に効く特効薬というものは残念ながらありません。
Aという方法をしてスピーチしたら緊張しなかったら「Aをしたから緊張しなかった」と思い込むのです。
そして次のスピーチでもAをしてスピーチします。
そこでまた緊張しなければ、それがあなたの”おまじない”自分流のリラックス法の完成です。
必ず自分にピッタリくる、しっくりくる”おまじない”があるはずです。
色々チャレンジしてみましょう。
ただし、私自身が元々あがり症でしたので、人前に出るとどうしても緊張してしまう、怖いという気持ちはよく分かります。幸いなことに私は自分オリジナルのリラックス法を確立することができましたが、なかなかそういう方法がない、見つからないという方は、あがり症克服の講座を受けてみるのも効果的なひとつの方法です。
アガらなくなる方法を是非見つけて下さい。 |